2009年07月の記事一覧

中国移植の現状

中国は2007年、旅行ビザしか持たない外国人に対する臓器移植を禁止とするなど、外国人への臓器移植を厳しく制限する方針を打ち出した。国内の医師や医療機関に対する規制は施行済みという。厳格に適用されれば、短期の移植ツアーなどはできなくなる。海外での移植手術を最後のよりどころとする移植待ち患者にとっては、大きな選択肢が失われることになる。

 国営新華社通信が2007年7月3日付けの中国保健省の声明として伝えたところによると、中国国内の医療機関は、外国人に対する臓器移植を実施する場合、保健当局の許可が必要。しかも、旅行ビザしか持たない外国人に対する臓器移植は禁止、同国の移植医が中国本土外で手術を行うこともできなくなった。本規制に違反した医療機関は厳しく処罰され、移植免許を剥奪される場合もあるという。

 外国人への臓器移植を事実上、禁止した理由として、中国政府は、同国内で臓器移植を待つ患者を優先するためという理由を掲げている。移植待ち患者が年間150万人に上るのに対し、臓器提供は1万件にすぎないという。

 一方で、かねてから欧米では、中国が犯罪者の臓器による移植ビジネスを容認しているという批判があった。日本移植学会も、名指しこそ避けているものの、受刑中や死刑執行者の臓器を利用している海外の移植施設への紹介禁止を倫理指針に明記している。今回の規制はこうした国際的な批判をかわす狙いもあるものと考えられる。中国当局は既に昨年秋から規制に踏み切る姿勢を公表していた。

 しかし、米国での臓器移植は数千万円から1億円以上と極めて高額なのに対し、中国では肝臓移植でも数百万円程度とされ、日本の患者の利用も少なくなかったようだ。規制によって移植ビジネスが地下に潜る可能性もあり、移植待ち患者にとってはもちろん、日本の移植医療にとっても少なからぬ影響が懸念される。