肝臓移植関連資料

肝臓移植関連資料

C型ウィルス性肝炎に対する生体肝移植と肝炎再発

現在のところ、C型肝炎ウィルスの移植肝再発に関してはB型のそれほど有力な治療方法はありません(新発売の抗ウィルス剤・リバビリンやPEG-インターフェロンに期待が寄せられています)。

しかしC型肝炎ウィルスによる移植後肝炎の進行はB型の再発に較べはるかにゆっくりしたものであり、肝硬変の完成までに8~10年を要すると考えられています。

移植が必要なC型末期肝硬変患者さんの年齢が 50歳台後半から60歳台前半ですので、肝移植が成功すればほぼ10年の延命が得られるということになります。

【原発性肝癌に対する肝移植と肝癌再発】

肝移植は、原発性肝癌(いわゆる肝臓癌)に対しても、その有力な治療法の1つであり、当科でも積極的に肝移植を行っています。

しかし、すべての肝癌が適応となるわけではありませんし、近縁者にドナーとなる意思をお持ちの方がおられるかどうかや肝臓癌の進行度などを考慮して当院の適応判定委員会の承認が得られた方のみがレシピエントとなることができるのです。

ひと口に肝臓癌といいましても、移植を行った後の成績の良好なものはどのような癌かということはイタリアのグループの代表的研究でわかってきております。それは単発(1ヶだけ)であれば直径5cm以下、多発であっても各々が3cm以下で3ヶまでにとどまれば移植後の5年生存率が65%(脳死移植のデータです)位あります。

生体肝移植の場合もこれをあくまで目安として移植の適否を決定しますが、必ずしもこの基準が適応限界というわけではありません。

しかし明らかに肝外進展があるもの、血管内に出ているものなどでは肝臓以外の部分や血液中に生きた癌細胞が残っている可能性が高く、早期再発を起こしドナーに傷をつけただけに終わることもありますのでお断りする場合が多いのです。

いくら小さい肝臓癌といえども“癌は癌”ですから移植後に再発する可能性はつきものです。

先にも述べましたとおり、体の免疫力を意識的に低下させているわけですから、再発癌の発育速度は速く、ほとんどの場合多臓器・多発再発です。

したがって肝癌の移植後再発に対しては手術前に受けられていた様な有効な局所療法はふつう出来ません。

【劇症肝炎について】

劇症肝炎はウィルスや薬剤によって肝臓全体の細胞が一時に障害され、肝臓が急に機能をしなくなるために死に至る病で、ふつうのウィルス性肝炎とはまったく異なります。

患者さんは肝臓が機能しなくなった結果、黄疸・意識障害(肝性脳症あるいは肝性昏睡といわれます)・出血傾向(出血しやすくなる)などの症状を急速に呈する予後不良の疾患です。

わが国ではその原因の多くはウィルスであろうと推測されますが、60%のものは原因不明です。

黄疸の発現から意識障害の発生までの期間により急性型・悪急性型に分けられますが肝移植が治療法として導入されなかったつい最近まで、その治療成績は惨憺たるものでした。(下表)

劇症肝炎の分類  黄疸の出現から

脳症までの時間 脳症の

進行  保存的治療に対する

反応性  保存的治療の

救命率

急性型 2週間未満  早い  比較的良い  50%前後

悪急性型 2週間以後  おそい  悪い  20%以下

劇症肝炎は症状の進行が極めて早いので、劇症肝炎に対する緊急生体肝移植こそはその特権、すなわち“迅速性”をもっとも効果的に発揮できる対象疾患と考えられます。

劇症肝炎に対する肝移植を成功させるためにはいくつかの条件が必要と考えられます。

劇症肝炎に対する肝移植成功のための条件 1) 初診医および本人・家族の肝移植に対する理解(紹介医の先生と患者さん)

2) 移植施設の全科的支援体制と機動力(本学全体)

3) 移植施設の保存的治療能力(肝臓内科・麻酔科など)

4) 移植施設の外科的治療能力(当科))

生体部分肝移植の保険適用について

生体部分肝移植の費用はドナー・レシピエントともにかなりの高額にのぼります。

移植の必要な末期肝疾患の一部のものは、下に示しますように保険適用となっています。

生体肝移植の保険適用 先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎)アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性疾患、肝硬変および劇症肝炎。

(ただし肝硬変および劇症肝炎については15歳以下の患者に限る)

ここで重要なのは成人の慢性B型・C型肝硬変、原発性肝癌や16歳以上の劇症肝炎などは保険医療の対象とならないということです。(劇症肝炎に対しては高度先進医療適用を申請中)

保険適用にならない患者さんに対してはドナー・レシピエントの医療費を手術日から退院日までの間ご負担いただくことになります。

自己負担のご相談には当院の専門職員がお問い合わせに応じております。

生体肝移植で自費診療となる代表的疾患と疾患特有のリスクについて

【B型ウィルス性肝硬変に対する生体肝移植と肝炎再発】

B型ウィルス性肝硬変が原因で、末期肝不全になっておられる方の肝移植は、移植肝へのB型肝炎の再発が原因で長い間移植成績が不良でした。これは術中から投与される免疫抑制剤(拒絶を防ぐ薬)によって血液中に残ったウィルスの活動性が高まり、何も予防的措置がとられなければ劇症化したり、あるいは急速に進む肝硬変のために3年以内に再移植が必要な状態となっていたからです。

しかし、ラミブジンという抗ウィルス剤の登場と抗B型肝炎ウィルスヒト免疫グロブリン(HBIGといいます)の組み合わせにより、このやっかいな移植肝へのB型肝炎の再発は80%以上抑えられるようになり、現在ではこれら薬剤の費用が余分にかかりますが安全な移植手術となりました。

2009年09月01日 肝臓移植関連資料 はコメントを受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 肝臓移植

トラックバック&コメント

まだトラックバック、コメントがありません。


»
«