糖尿病根治シリーズ

糖尿病根治シリーズ

生命科学は20世紀末と今世紀はじめに自然科学領域で最もすさまじい発展を実現した分野です。幹細胞の研究と応用はその中で最も注目を浴びている領域の1つとなっています。アメリカの科学雑誌『Science』の発表では、幹細胞研究の新発見が1999年・科学成果ベストテンのトップになりました。そして2000年度再びベストテンに選ばれました。今日、幹細胞の研究は殆どの生命科学と生物医学の領域に応用されるようになっています。

「生物学のあらゆる問題を解く鍵は、最終的には細胞の中から見つかるに違いない。」これは、前世紀初頭に活躍した細胞生物学者E. B. Wilsonの言葉である。彼が述べているように、細胞は、生物の生命活動の基本単位です。

幹細胞とは何か

我々人間の体は400万億~600万億の細胞から成り立っています。細胞の種類は230あまり、大きく分けて2種類となっています。一つは機能細胞です。機能細胞の生命活動の現れは人体の多種多様な生理活動です。例えば、心臓は心筋細胞からなっています。リズムにのった伸縮と拡張が心臓の生理機能を全うしています。人間の思考も、脳の神経元細胞の情報相互伝達によって完成されています。すなわち、機能細胞の健全と活躍があってこそ我々人間が若さを保ち、健康で活力に満ちているといえます。しかし、細胞は人間自身と同じように、死亡することがあります。正常な細胞死滅と外部の要因による影響での細胞壊死などで、人体は毎日大量な機能細胞が失われています。従って、ある他種の細胞によって新たな機能細胞を生成する必要があります。この種の新たな機能細胞を生成できる細胞は幹細胞そのものです。人体の各組織器官に幹細胞が存在しています。その幹細胞の量と質が組織器官の機能と状態を決めています。幹細胞も生命体です。幹細胞の生命の過程も発生、発育、成長、老化、死亡という自然のルールに則して進行しています。年齢と共に体内の幹細胞の量と質も次第に下がってしまい、人体の需要に応じられるような、老衰・病変した細胞を代替する若くて健康な新細胞を産み出すことができません。その結果は人体の老衰と疾病となって現れます。従って、体内で活躍する幹細胞の数量を元に戻すことは、体の衰えを抑え、各種疾病の予防と治療のための重要なキーワードになっています。

生命の発育時間の順番から、幹細胞を万能幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)と成体幹細胞の3種類に分けることができます。これらの幹細胞はそれぞれどのような特徴があるでしょうか。

生命の起源である万能幹細胞

受精卵は万能幹細胞で、万能性を有して、完全な個体(人体)に発育することができます。

組織器官発育の基となる胚性幹細胞(ES細胞)

受精卵が発育してから15~56日目は胚期と呼ばれ、この段階の細胞は胚性幹細胞(ES細胞)です。胚性幹細胞(ES細胞)は万能幹細胞の分化によって生まれましたが、その万能性を失い、完全な個体に発育することができなくなっています。しかし、胚性幹細胞(ES細胞)が強い増殖能力と多分化能を有するため、生命体の需要に応じて230種あまりの機能細胞を作り出すことができます。ES細胞の信号を受け取る能力が高く、様々な良質細胞を分化することができます。

組織の修復再生の基礎となる成体幹細胞

成体幹細胞は胚性幹細胞(ES細胞)のさらなる分化より生成し、分化能力が更に制限され、それぞれ存在する組織の要求に従って固有のタイプの細胞を作り出すことしかできません。例えば、脳に存在する神経幹細胞は神経細胞にしか分化することができず、心臓に存在する心臓幹細胞は心筋細胞にしか分化することができません。

ES神経幹細胞

神経系は人体構成上と機能上では最も複雑な部分です。ほとんどすべての組織、器官をコントロールしている神経系は人体を有機的な一つの統一体にし、生体機能の各系統の中では主導的な役割を果たしています。したがって、神経系は生命体から厳重に保護されていて、他の物質は神経系にある血液脳関門( BBB)へ非常に進入しにくいが、幹細胞は簡単に進入することができます。そのため、当センターは胚性幹細胞段階の幹細胞を神経幹細胞に作製した後、移植を行います。このような方法は、神経系に新たに幹細胞を獲得させ、神経系にある幹細胞の所有量を一定に保つことで有利です。最終的に人体の神経系の正常状態を守り、神経系の老化と疾病の発生を抑制することができます。

ES造血幹細胞

胚性造血幹細胞は多分化能を持つため、人体の需要に応じて体内必要な230種の機能細胞に分化することができ、体内各組織器官を修復し、全身各組織の機能を改善することができます。

患者様に移植を行った場合、胚性神経幹細胞は神経系統の機能を修復・改善することができ、胚性造血幹細胞の分化を精確にコントロールすることもできます。この2種の幹細胞を一緒に使用すると、体を速やかに最もよい状態に回復させることができます。どちらか一種だけ使用する場合は、相対的に遅くなってしまいます。

幹細胞の選択及び分類

どの種類の幹細胞を選ぶかは幹細胞の応用において一番の問題となっています。生命の発育順番から以下の分類ができます。

万能幹細胞—-万能性を持っていて、一定の条件下では完成した個体に発育できるので、移植するには不適です。

胚性幹細胞—-完成した個体に発育することができませんが強い増殖能力と多系統の細胞に分化する多分化能を有するため、人体の需要に応じてすべての機能細胞を作り出すことができます。胚性幹細胞は全身機能を改善し、各組織器官の機能を若い状態に取り戻してくれます。元気にあふれた健康な体造りにしてくれます。従って、胚性幹細胞は移植に最も適すると思われます。

成体幹細胞—-現在医学領域で多く応用されているのはこの成体幹細胞です。例えば、臍帯血幹細胞移植と骨髄幹細胞移植などのように、白血病、再生不良性貧血などの治療に当たってはよい効果を果たしています。成体幹細胞は機能の単一性から、それに対応する血液系の病気しか治療することができません。

当センターは臨床に胚性幹細胞を使っています。その原因は胚性幹細胞に以下の優れた特徴を有していることにあります。

●    増殖する能力が強く、分化できる細胞の種類が多く、高質です。

●    転移、帰巣能力を持っています。

●    付着能力が強く、帰巣後老化・紛失する可能性が低いです。

●    信号を受ける能力が強く、新環境に応じて形を定め、自由に分化することができます。

●    拒絶反応が起こらなく、型合わせをしなくても良いのです。

幹細胞の機能

移植された幹細胞の帰巣と分化

幹細胞巣とは幹細胞、周辺細胞とそれら細胞の分化・増殖を制御する関連因子によって構成した、動態バランスが維持する性格を有する局地環境のことです。移植された胚性幹細胞が生体の需要に従って体内の相応位置に転移し、自主的に各組織器官の幹細胞巣に位置を定めます。このプロセスは幹細胞の帰巣と称します。胚性幹細胞はまた形を定めていないため、容易に新しい環境に順応し、新環境の特徴を有する幹細胞に変化することができます。新環境特徴の幹細胞は組織の需要に応じて、相応する幹細胞に分化することができます。組織の細胞を更新させ、各システム内の動態バランスを回復させます。

例えば、移植した胚性幹細胞は肝臓微環境の影響によって、肝臓幹細胞に変わります。そして周囲の細胞の影響を受けて、新たな肝臓細胞を作り出します。

幹細胞の機能が生体の発育、成長、老化の段階を表す

早期の幹細胞は増殖・分化する能力が強いため、死亡する細胞数より発生する細胞数のほうが多く、生体を成長・発育の最もよい状態にしています。生体の発育が成熟したことに伴って、幹細胞の増殖・分化する能力が安定状態に近づいてきます。このときの幹細胞が随時に新しい細胞を作り出して老化した細胞を代替します。このことによって体内細胞の安定した更新状態を保ち、各組織の機能の安定を維持でき、生体を成熟した状態にします。しかし、生命体全てが成熟の段階から老衰に進行しなければなりません。体内幹細胞の絶えず増殖と分化が必然的に幹細胞群の老化と減少を引き起こします。体内細胞の安定した更新が損なわれ、新生した細胞が老衰した細胞と代替することができなくなります。その結果、各組織の機能が低下し、最終的に人体が老衰に向かわれてしまいます。

幹細胞は生命の起源になる細胞

単細胞受精卵(一代目幹細胞)からはじめ、卵割と呼ばれる段階を経て、内部細胞塊という生体になる部分が生成し、生体器官の形成と生後の発育の一連のプロセスによって人体が形成されます。幹細胞は一方では時間軸に沿って順序良く分化を行い、様々な細胞を形成しています。一方はまた予定された全体の構成図のとおりに厳格に増殖、転移、配列及び他のタイプの細胞と組合せ、様々な組織と器官を形成し、完成した個体にたどりつきます。

幹細胞は人体の動態バランスを維持するタネ細胞

人体は幹細胞の増殖と分化によって細胞の更新を実現しています。成年したことが細胞の増殖と分化が完了した意味ではなく、依然として制御されている組織の更新プロセスが保たれています。骨髄、上皮組織など一部の組織には、分化によって老衰、死亡した細胞を代替するため新細胞が絶えず生成しています。生体内細胞の動態バランスを保っているのは幹細胞の増殖です。幹細胞は自己更新組織という特定した位置に存在する成長の遅い細胞です。その子細胞の一部分には元の細胞の増殖する能力が残っています。その他の一部は多系統の細胞に分化することによって様々な機能細胞を形成し、組織器官を絶えず更新と修復を繰り返させています。幹細胞のこのような自己維持及び全能性の特徴が、幹細胞を組織再生の基礎にしました。機能から言うと、幹細胞は分化した細胞の機能を執行するのではなく、特化細胞を生成するタネになる細胞です。


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