フィリピンでの移植の記事一覧

腎移植手術決定から退院までのフロー(フィリピン編)

2007年4月よりフィリピンでの外国人の生体間移植は全面的に法律により停止となりました。
一部のサイトでフィリピンでの移植ができる旨をうたっていますが、全て違法で有る事を認識する必要があります。

現在フィリピンで許されている移植は通常の外国人枠による死体間移植です。

この移植も唯一フィリピン国立腎臓研究所のみでの取り扱いと成っております。
費用は一律6万ドル(約500万円程度)です。

個人でフィリピン国立腎臓研究所へお申し込みの場合(外国人枠にて)

1. 移植意思の通知(Eメールもしくはお電話により直接現地病院へ)

2. この時点で英語が出来ない方は現地の通訳を必要とします。(現地通訳会社等が分からない場合は調べ方をご指導致します)

3. 必要書類(基本データ)をご送付戴きます。(データフォームからご使用ください。)

4. フィリピン専門医師の診断

5. 移植手術可能性可否の決定通知(診断後移植の可能性有りと判断された場合)

6. さらに血液検査データ、尿検査データ、心肺機能検査等お受けいただいている資料があればできるだけご送付願います。特に病歴については事前にお知らせ戴きます。
※以下5から7は直接検査に起こしになられる方は不要になります。

7. 血液サンプルとHLA検査データをご送付戴きます。国際宅急便等(フェデックス、DHL、EMS等)

8. 血液サンプル送付と同時に検査代金を現地病院へお振込み戴きます。

9. HLAデータは日本臓器移植ネットワークセンターに登録済みの患者様であれば、そちらにお問い合わせ戴ければデータを出して戴く事ができます。 また、もしまだHLAデータを御取りでない場合は民間の検査機関にて検査をしてください。

10. その後は献腎が現れるまで待機となります。

11. 待機中にパスポートの取得(有効期限半年以上有効なもの)をして頂きます。

12. ドナーの知らせが有った場合翌日のフライトにより現地病院へ直行願います。

13. ビザは突然の出発となりますのでノービザでおいでいただき、現地にてビザ申請を病院を通して取得して戴きます。

14. 移植手術の為の費用は現金でお持ちになるか、振込み(振込みの場合はご家族に現地病院口座へ直接お振込します。

15. 来比 到着空港に事前にお願いする病院通訳がお出迎え致します。

16. 到着後直接病院にチェックインし、時間によっては直ぐに検査となります。

17. レシピアント検査(組織適合性検査の他に移植できる状態と判断する為の全ての検査)ドナー検査 患者に透析が必要な場合透析

18. ドナーの血液と患者様の血液を実際に混ぜて反応を確認する「クロスマッチング検査」を経て、手術に対して問題が無いと判断されれば移植手術に臨んでいただきます。

19. 手術

20. インフォームドコンセント担当医師より手術に於ける説明及び意思確認を受けます。(手術同意書等)

21. 移植手術は、通常要する時間は、3〜4時間程度です。

22. 術後1日〜3日リカバリールームを経てTICU(移植集中治療室)完全看護、感染症等予防の為、その後VIP個室へ(病院滞在は術後約1週間)

23. 移植手術終了後は術後の経過にもよりますが、およそ2〜3週間の間、一日に最低2,000ccの水を飲まなくてはなりません。

24. 今までは、望んでも水分の摂取を制限されていた患者さんですが、手術後に新しい腎臓が正常な活動を開始すると、逆に水分への欲求が無くなり、2,000ccの水を摂取することが非常に苦痛に感じられることが多いようです。

25. しかし、プライベート・ナースから数時間ごとに水の摂取を指示されますので、この指示には必ず従ってください。

26. 病室に戻って来られてからは、早い方で4日目位から自力でお手洗いまで歩かされます。未だ患部が痛いとは思いますが、努めて運動するようにしてください。

27. 医師から退院の許可が下りると、今度は病院近くのホテルに移動していただきます。

28. ホテルにも、サポーターが付き添い、各種の記録を作成して医師に提出します。

29. 患者は、ホテルから病院まで1週間3回通って、各種の検査を受けていただき、 このころには、免疫抑制剤の処方量も、ほぼ確定してまいります。経過にもよりますが、おおむね1週間から10日間ほどホテルから病院に通院していただき、医師の帰国許可を待って、日本にお帰りいただきます。

30. 検査や診断、また、帰国に際しては、通訳を付き添わせると良いでしょう。。

31. (上記の概略は、平均的な術後状態を示す患者様のケースであり、すべての患者様にあてはまるものではありません。患者様個々の状態により、入院期間・通院期間は異なって参ります。

32. 帰国後の管理(アフターケア)帰国後は、移植医療を行なっている国内の病院に継続通院(最初の一月目は2週間に一度、その後月に1回ほど)をしていただきます。

33. 現地医師団は、日本の医師が術後の流れを理解するための診断書等の書類を作成します。

34. また帰国後に予後管理をお願いする病院が決まっていなかったり、探し方がわからない患者様には、医療機関の確保方法についてアドバイスさせていただきますので、どうぞ ご相談ください。

35. なお移植手術後は、HLA を高度にマッチングさせたとしても、免疫抑制剤を服用している限りは免疫力が低下しています。アフターケアを担当してくださる医師からも説明があると思いますが、特に以下の事柄に十分ご注意ください。

36. ・人混みを避ける(特に術後の数ヶ月)

37. ・手洗い及びうがいの励行

38. ・感染性疾患に罹患している人に近寄らない

39. ・ペットなどとの濃厚な接触を避ける

40. ・医療機関(歯科医も)を受診する際には、免疫抑制剤を服用していることを必ず告げる。

41. ・市販薬の服用は極めて慎重に

42. ・身体を冷やしたままにしない

43. ・塩分の摂取は出来るだけ少量に

44. ・生ものの摂取は慎重に

45. ・水分の補給は、こまめに十分に

46. 透析からの離脱を果たしても、正常に機能している腎臓は一つだけです。

47. くれぐれも無理を重ねぬよう、以上の事柄に留意いただき、『いのちの贈りもの』を大切にして、末永くご健康にお過ごしください。

48. 【保険・医療費控除について】

49. 生命保険や医療費控除の活用方法に関する情報をお知らせいたします。

50. 現時点で有効な生命保険または医療保険にご加入の場合、外国での治療であっても、現地医師作成の診断書を添付することにより、手術給付金および入院給付金の請求を行うことが可能ですから、詳しくは各保険会社にお問い合わせください。

51. また同様に、現地医師の医療費領収書を添付することにより、200万円を上限とした所得税の医療費控除が受けられます。ただし国外での治療のため、高額療養費などの医療費そのものの還付を受けることは出来ません。

52. 詳しくは、税理士または市区町村の税務課までお問い合わせください。

53. 保険や税の控除を上手に利用しましょう。

フィリピンにおける臓器移植の現状

フィリピンでは、一般国民に対する医療保障は貧弱であると言われています。とくに地方の医療水準は低く、地域や資本偏在による格差は大きな問題となっています。
 一方、外国人や特権富裕階級の享受できる医療はアメニティも含めて高い水準にあり、施設や機器、 医療技術は日本の大病院と比べて遜色ありません。 フィリピン医学会の認定医のみならず、米国の専門医認定を受けている医師も多く、最先端の医療を受けることができます。
 フィリピンの医療制度は日本と比べると異なる点が多く、どちらかといえば米国に近いシステムを持っていると言えます。

● オープンシステム

 オープンシステムとは、日本のように勤務医が病院で診察をするのではなく、患者とその主治医が病院を利用して診察や治療を行うシステムです。 このため、病院単位で診療のレベルや手術の成功率を評価することは困難であり、病院の設備の充実度とともに、それを利用する医師の能力にも治療の結果は大きく左右されてしまいます。
 また、病院と医師への支払いは別である場合が多く、医師は独自に料金を請求するため、優秀な医師の治療費は高額になることが多々あります。
 このシステムは、治療費がほぼ一定となる日本のシステムからすれば異様に移りますが、提供する医療の質に対しても治療費に格差をつけるべきだという資本主義的な意識が反映された結果だと言えるでしょう。

● 専門医制度の徹底

 フィリピンの医療制度の下では医師の専門が細分化され、専門医にしか許されない医療行為が多くあるため、日本のように一人の医師が複数の分野の診療を行うことができません。
 近年、日本でも麻酔科医の配置など、専門医制度のさきがけとなるシステムが導入されていますが、フィリピンのそれはかなり徹底されています。 たとえば、日本ではX線写真などは大抵の医師が読影して診断するのに対し、フィリピンの医師は専門医の読影結果を得なければ診断できないことになっています。
 これは、より的確な診断を可能にする反面、最終診断がつかずに治療の遅れを招くこともあります。

● 救急医療の開放

 日本では重篤な状態以外では利用できないように思われている救急室は、フィリピンでは24時間稼動で患者を受け入れる総合外来として機能しています。 これにより、患者は昼間多忙であるために病院に行かず、治療が遅れてしまうという事態を避けることができます。
 フィリピンの移植の歴史は複雑で、多くの闇業者による臓器売買が横行してきました。貧困層の腎臓売却や死刑囚からの臓器摘出などが頻繁に行われ、これまで多くの外国人が手術を受けています。
 闇業者を仲介して行われる臓器移植手術では、闇医者も多く係わり、不十分な管理のもとで手術が行われるなど、フィリピン医療の信頼を傷つけてきた経緯もあり、信頼の回復も課題のひとつとなっています。
 
 フィリピンの移植技術は、平均的には決して高いとは言えませんが、腎臓移植に関しては突出しており、その水準は最先端レベルにあります。
 その理由は、第10代大統領であるフェルナンド・エドラリン・マルコス氏が自身の腎不全治療、腎臓移植の為に研究所設立や専門医の養成に力を入れた結果であるといえます。なお、マルコス大統領夫人によって設立された国立腎臓移植研究所(National Kidney and Transplant Institute)は腎臓移植の研究と臨床において大きな成果をあげており、現在もフィリピンの移植医療の中心的施設となっています。

 フィリピンの医学生や研修生は、米国式の教育システムのなかで、日本以上に厳しい訓練を受けて初めて医師になることが出来ます。
 医師志望者は四年制大学を卒業後、メディカルスクールで4年、その後に1年間のインターン(臨床実習)を終えて医師国家試験を受験します。医師免許取得後は学会に所属し、2~5年のレジデント(病院勤務医)をしながら専門医試験受験のためのカリキュラムをこなし、そしてそれぞれの試験に合格して初めてその分野における診療が行えるようになります。
 専門医とは別に、インターン終了後すぐに開業する一般医がありますが、行える診療は限定されています。
 また、フィリピンの専門医は米国と直結しており、世界で通用する欧米の専門医療の資格を取得している医師が多いことは、日本や他のアジア諸国(シンガポール除く)とは大きく違う特徴であり、医療技術が先進国に劣らない証明にもなっています。実際にフィリピンの医師の約30%は米国の臨床分野で活躍しています。

 一方、看護師になるためにも四年制大学で看護学を専攻し、卒業試験及び国家試験と難易度の高い試験をパスしなければなりません。 このような教育システムから、フィリピンの看護師は医療知識においては日本よりも優れていると言われています。
 また、フィリピンの看護師は、医師、特にインターンレベルの医療行為を日常的に行っており、医師の指示がなければ医療行為ができない日本の看護師にくらべて、より的確で主体的な治療医療や予防医学に踏み出しています。
 欧米、主に英語圏からの需要は他のアジア諸国の看護師に比べてとても多く、その技量と能力は広く認められています。