腎臓移植の記事一覧

手術前検査

基本検査・問診項目 必要に応じてその他の検査も行います。

1.主な腎疾患の確認(可能な場合は生検を行います)
2.合併症のスクリーニング(糖尿病、冠動脈疾患、鬱血性心不全(CHF)、膠原病、肝臓病、呼吸器系疾患など)
3.手術前の感染症スクリーニング(肺結核、肝炎、小児期の疾病(水痘など))
4.血圧及び血液流動性
5.腎臓機能部位の確認
6.現在受けている薬物療法の確認
7.薬/食物アレルギーの確認
8.透析の種別、透析暦、頻度などの確認
9.輸血暦の確認
10.産婦人科の受診暦(妊娠、出産等)の確認
11.徴兵暦の確認
12.有害物質に対する露出経験の確認
13.直腸診(前立腺検診)
14.検尿
15.血液検査(血糖値、血液性疾患、麻酔適応等の検査)

腎臓移植

腎臓は左右に2つあり,腹腔内で背中側の横隔膜寄りにある握りこぶし大の臓器で,体内からの水分排泄、尿毒素の排泄、造血因子の分泌、血圧調節、骨代謝など、重要な機能を備えています。正常な腎臓であれば,1個で成人の健康を十分維持する能力があることから,生体腎臓移植では患者(レシピエント)は健康者(血縁者、家族)の2つある腎臓の1つをもらい,移植する事になります。亡くなった人からの提供による死体腎移植では,2つの献腎を1つずつ2人のレシピエントに移植することができます。移植のための一般的な医学的条件として,提供者(ドナー)、レシピエントともに活動性の感染症や悪性腫瘍がない事が絶対的に必要であり,また移植する臓器に高度な機能障害があってはならない上で,免疫学的条件として血液型の不適合がない事、組織適合抗原系(HLA)の不適合数が少ない事、またリンパ球交差試験が陰性である事が重要であります。HLAとしてはA、B、DR型が調べられ,それぞれに2種類ずつ計6種類あり,血液型と同様にHLAは両親からその型を半分づつ受け継ぐことから,親から子供への生体臓器移植であればHLAの半分は一致し,兄弟姉妹であれば全部合うもの、半分一致したもの、全く合わないものといった3通りの組み合わせとなります。非血縁者間で行われる死体腎移植では,ドナーのHLA型と不一致のないレシピエントが優先されるが,その次にはDRが適合していてA、Bの不一致数の少ないレシピエントが選ばれます。最終的には,ドナーのリンパ球とレシピエントの血清を試験管の中で合わせて,レシピエント血清の中にドナーリンパ球を障害する抗体が存在しない事を確かめたうえで移植が行われます。
   腎臓移植は慢性腎不全の根本的な治療法で,腎不全によって透析療法を受けている患者で,移植希望の意思のある人が対象となります。移植が成功すれば,透析治療から離脱することができ,免疫抑制薬の服用を続けることによって拒絶反応を起こさないようにすれば,健康な人と同じ生活をいとなむことができます。腎移植には親子、兄弟姉妹などの血縁者から腎臓の提供を受ける生体腎移植と脳死か心臓死された患者から善意の腎提供を受ける死体腎移植の2つの方法があります。死体腎移植とは生前から死後の臓器提供を承諾していた腎臓病や悪性疾患以外による患者の死亡と同時に,遺族の承諾を得て,腎臓を取り出し,待っている腎臓病患者に移植するものです。移植される腎臓は骨盤部に植えられます。植えられた腎臓はその人にとって非自己なので,急性および慢性の拒絶反応が起きます。以前はそのために移植腎の機能がなくなり,せっかく植えた腎臓を摘出しなければならないこともありました。最近はシクロスポリン、タクロリムス等の優れた免疫抑制薬が使用されますので,重症の拒絶反応を起こす事が少なくなり,移植した腎臓の生着率はきわめてよくなりました。
腎臓移植の適応について
   基本的には,全ての末期腎不全の患者が腎臓移植の対象となります。年齢的には,元気であれば60歳代でも移植を受けられています。最近では70歳前半でも移植を受けた患者さんもいます。透析期間の長さは関係ありませんが,癌や肺炎などの活動性の感染症あるいは進行性の悪性腫瘍を合併している場合は,移植を延期又は中止します。病状の進行具合にもよりますが,糖尿病や膠原病の人でも移植手術は可能です。
   移植をすることによって症状が悪化するような病気は,前もって完全に治療してからではないと移植手術は受けられません。胃・十二指腸潰瘍、感染症(腎盂腎炎、肺炎、肺結核、慢性中耳炎、副鼻腔炎、虫歯など)、血清肝炎、肝障害、膀胱機能・下部尿路系の異常、精神神経障害などは早期にしっかり治すことです。
腎臓はどこに植えるのですか?手術時間はどれ位ですか? 移植は何度でも受けられますか?
   腎臓移植が肝移植あるいは心移植と大きく異なる点は,脳死下での摘出以外に心停止下で摘出した腎でも腎移植が可能な事です。さらに臓器の保存時間も肝臓、心臓と比較して長時間可能であり,摘出後最長72時間程度まで移植可能です。ただし,保存時間が短い方が移植後の腎機能は良好です。移植手術は全身麻酔で行い,摘出された腎臓は,通常移植者(レシピエント)の右下腹部の骨盤内に移植します。腎動脈は内腸骨動脈あるいは外腸骨動脈と、また腎静脈は外腸骨静脈へそれぞれ吻合し,さらに尿管は膀胱へ吻合します。 手術の切開創は約15cm〜18cmで,手術時間は癒着の度合や吻合する血管の数などによりますが,おおよそ3〜4時間です。自己腎は特に問題がなければそのままの状態で残します。
   移植された腎臓が何らかの理由で機能が失われた場合,再び透析治療を受けることになりますが,チャンスがあれば再び移植をうけることが可能です。
移植後の拒絶反応、免疫抑制及び感染症
   人間の体は,細菌、ウイルスなど,本来自分の体に属していない異物が侵入してきた時,攻撃して異物を排除しようとする一連の反応を起こしますが,これを免疫反応といい,体を病気から守るための不可欠の役割を果たしています。ところが臓器移植の場合,移植された臓器も異物とみなされるため,攻撃の対象となってしまい,拒絶反応を起こします。拒絶反応が激しければ,移植された臓器は破壊され,機能しなくなってしまいます。
   移植後は拒絶反応が起こらないように免疫抑制剤を服用します。経過とともに薬の量は減っていくが,原則として患者は臓器が生着している限り一生飲み続けていかなければなりません。免疫抑制剤は優れた効果があると同時に,様々な毒性、副作用などがある事から,通常はいくつかの薬剤を組み合わせる併用療法がおこなわれています。多くの場合,主剤としてシクロスポリンかタクロリムスのどちらかが使われ,併用薬としてステロイド剤、ミゾリビン、アザチオプリン等が用いられることが多いのです。シクロスポリンとタクロリムスは常に血中濃度を測定し,適切な濃度となるように服用量を補正していきます。
   適切に免疫抑制を行っていっても急性拒絶反応は発現し,程度の差はあるが,腎移植患者では50〜60%でみられると思われます。しかし,早期発見と早期治療により,急性拒絶反応のほとんどは治療することができます。そのためには,ステロイド、塩酸グスペリムス、抗リンパ球抗体、ムロモナブCD3といった拒絶反応治療薬が短期間使われます。

2009年09月01日
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カテゴリ: 腎臓移植

腎移植後の生活

生活について

(1)食事

腎移植後は、透析療法を受けていた頃のような食事制限はありません。バランスのとれた適量の食事であれば、あなたの好きなメニューを選ぶことができます。しかし、下記のような事項には注意する必要があります。
 移植後は食欲が増加し、つい食べ過ぎて、知らず知らずに体重が増えてしまいます。このような体重増加(透析時のような水分の増加ではなく、脂肪です)=肥満は、移植後の動脈硬化、糖尿病、高血圧、心臓病、股関節・骨の障害などの、いわゆる「成人病」の発症の原因となります。退院時に栄養相談室で勧められたあなたの”標準体重”を越えないようにしましょう。
•なま物(鮮度の落ちた刺身などの食品)には、注意しましょう。
•塩分は控えめにしましょう。
•お酒;あなたの酒量に応じた適度の習慣を守って下さい。しかし、控えめにすることは当然でしょう。
•飲み物;グレープフルーツジュースは避けてください。使用する薬の効き目が損なわれます。
•移植腎機能が低下した(血清Cr値>2.5mg/dl)患者さんは、その症状に応じた食事療法が必要です。栄養相談室で、食事療法の指導を受けて下さい。

(2)仕事・スポーツ

あなたの仕事の内容により、退院時の職場への復帰の程度、時期が異なります。外来担当医師と相談して下さい。事務系の仕事は、原則として退院後1~2週の準備期間が過ぎて、日常生活に慣れ、体力に自信がつけばかまいません。
 移植のための入院生活やステロイド剤の内服により、あなたの筋力は落ち、骨も弱くなっています。激しい肉体労働(重い物を持つ、高いところから飛び降りたりする)、激しい運動(サッカー、野球、テニス)あるいは移植された腎臓の部分に圧迫や打撲の危険があるようなスポーツ(柔道、ラグビー、サーフィン、スキー)は、少なくとも移植後1年間は避けましょう。

(3)その他の注意すること

無理をせず規則正しい生活
 どうしても移植後は体の調子が良くなり、かえって、無理をしがちです。毎日規則正しい生活を送り、十分に休息・睡眠をとるようにしましょう。少なくとも朝起床時に体温・血圧・体重をはかり記録する習慣をつけましょう。
清潔で健康的な生活
 毎食後の歯磨き(シクロスポリンによる歯肉肥厚の予防)、入浴などの皮膚の清潔を保つ(にきび、水虫などの皮膚真菌症の予防)、外出後のうがい(風邪の予防)、ペットとの過度の接触を避ける(屋内で一緒に居住したり、口移しで餌を与える→ペットの病気伝染)ことに、心がけましょう。
脱水
 透析時代は水分のとり過ぎによる、溢水・排水腫が最大の注意事項であり、水分接種は極力抑えるように指導されました。しかし、移植腎にとっては、体の水分が欠乏することがかえって危険な状態となります。日中炎天下での汗による脱水・下痢・嘔吐による脱水には充分注意して下さい。積極的に水分の補給をしましょう。
 吐いたりして口から水分を補給できない場合は、点滴が必要となります。
毎日の体調の自己チェック
•体温・血圧・体重の異常
•尿;尿量・排尿(回数?、痛い?、スムースにでない?)、尿の性状(色・にごり)
•便通;回数・便の固さ(例;下痢と便秘が交互に来る?、異常に太さが細い?)、便の色(例;タールのように黒い?)
•皮膚の湿疹・発疹
•移植された腎臓部の腫れ、痛み、押さえると痛い
•新聞や信号機の見難さ(白内障の進行)
毎朝、日課として自分の体をチェックする習慣を身に付けると、自分の体の変調に簡単に気づくことができます。
外出・旅行
 制限はありません。旅行には、くれぐれも免疫抑制剤などの大切な薬を忘れないように、また多めに持ち歩くように心がけましょう。
 自転車などは移植後1年間は避けた方が無難です。自動車の運転はかまいません。オートマチック車は、足への負担も少なく良いでしょう。安全運転に心がけて下さい。
その他
性生活に制限はありませんが、女性の場合、妊娠出産は移植腎に負担がかかります。移植後2年間は避妊をしたほうが無難です。

移植後の薬のために、気分が乗らない、寝付かれない、イライラする・・・等の症状が現れることが稀にあります。

自分の判断で、薬を飲んだり、中止したりすることが一番危険です。

移植腎の日課

(1)水分摂取と排尿

一日の体の水分バランス
 飲水+食物中の水分+代謝水(300ml)=尿量+不感蒸泄(汗+呼気中の水分=500~1000ml)+便中の水分(50ml)
 尿量は当然、口から取る水分量(飲水量だけでなく、上述の食物中の水分量も含みます)に比例し増加し、逆に運動をしたり気温が高く汗の多いときや、下痢などで体内の水分が喪失すれば尿量が減少します。このような身体の内・外の状況を加味して、1日の尿量が1500から2000mlぐらい確保できるように、いつも十分な水分を補うように努めましょう。
 しかし、水分を多くとることのみに気を奪われて、ジュース、牛乳で大量に水分を補給することは、カロリー過多の原因になります。気をつけましょう。
 もし、あなたの飲水をふくめた規則的な食生活の習慣が身についていれば、毎日の尿量あるいは尿の性状は大体同じであり、そのわずかな変化から移植腎機能の異常にいち早く気付くことが可能となります。
排尿
 移植腎は夜間に多く尿を造る傾向にあり、夜間尿量が増えます。就寝時と就寝中1回は排尿する習慣をつけましょう。移植患者さんは膀胱炎を起こしやすく、また移植された尿管を尿が逆流して移植腎の腎盂炎の引き金になることがあります。

(2)血圧測定について

脳血管障害(脳卒中)、心臓病(狭心症、心筋梗塞)は、腎移植後の代表的な合併症であり、移植患者さんの最大の死亡原因です。高血圧のコントロールが最も大切な予防法です血圧を定期的に測る習慣を身につけましょう。
 血圧測定は、5分間の安静後以下のような目安でチェックしましょう。
•降圧剤を服用していない人 → 起床直後
•降圧剤を服用している人 → 起床直後、夕食後、就寝時
•何種類も降圧剤を服用している人 → 起床直後と降圧剤服用直前ごと

(3)体重測定

体重の増加は、移植腎機能の低下による水分の貯留(むくみ)の指標であり、また移植患者さんの大敵である肥満の注意信号でもあります。毎日の体重測定は大切な日課です。毎朝の起床時の排尿・排便後に、決まった服装で(パジャマ/寝間着)一定した条件として体重を計りましょう。

(4)体温

熱があると思ったらすぐに、体温計で熱を測りましょう。38℃以上の発熱時は、病院に連絡し対応を相談しましょう。

(5)清潔/身の回り

免疫抑制剤服用している移植患者さんは、外出後のうがい・手洗い、毎日の入浴により感染の予防に心掛けてください。室内での鳥犬猫などのペットの飼育や、食物の口移しなどによるペットとの直接的接触は、病気の伝染の原因となり、時には重大な病気を起こします。

 

薬について

<免疫抑制剤>

1.サンディミュン(シクロスポリン)
【製 剤】25,50mgカプセル
【作 用】リンパ球のひとつであるヘルパーT細胞のインターロイキン2(IL-2)産生、遊離を抑制することにより免疫抑制作用を示す。その作用は選択的で、他の免疫担当細胞である顆粒球やマクロファージの機能には影響しない。また、ステロイド剤使用量が少なくてすみ、その副作用の軽減ができる。
【副作用】腎障害、肝障害、全身痙攣、感染症、急性膵炎、耐糖能異常、高血圧、貧血、白血球減少、血小板減少、多毛、手指振戦、頭痛、しびれ、高脂血症、高尿酸血症、高カリウム血症、歯肉肥厚、悪心、嘔吐、消化管潰瘍、のぼせ、熱感、倦怠感など
【服用時の注意事項】
・ 血中濃度を適切な範囲で一定に維持するため、必ず医師の指示通りに服用して下さい。
・ うがい、手洗いなどいつも清潔にして下さい。
・飲み合わせの多い薬なので移植医の指示以外の薬を服用するときは、必ず相談して下さい。
・グレープフルーツジュースと同時に服用した時、サンディミュンの血中濃度が上昇するとの報告があります。
・ 服用を忘れた時は、忘れたときから
6時間以内…気づいた時、一回分服用
6時間以上…一回分とばして次回一回分のみ服用(二回分まとめて服用したり、間隔が短いと副作用がでやすくなります)
2.プレドニン(プレドニゾロン)
【製 剤】5mg
【作 用】作用機序は幾つもあり、多くが未解決。抗炎症作用、IL-1、IL-2の産生を抑制してT細胞の活性化、増殖、及び細胞障害性リンパ球の活性を阻害する。また、マクロファージの抗原提示能力、貪食能などを抑制することにより免疫を抑制。
【副作用】感染症憎悪、糖尿病、続発性副腎機能不全、肥満、月経異常、消化性潰瘍、精神変調、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、高血圧、ムーンフェイス、白内障、緑内障、白血球増多、にきび、多毛、脱毛など
【服用時の注意事項】
・生体内でつくられるステロイドはプレドニン約1錠分なので維持量10mgは それほど多い量ではありません。
・ステロイドの生体内分泌は朝に多いので、プレドニンは朝服用するのが生理的です。
・急に服用を中止すると関節痛などが出現したり、さらにショックなどの危険な状態に陥ることがあるので必ず医師の指示どおりに服用して下さい。
・服用を忘れたときは同日以内に予定量を服用して下さい。
3.イムラン、アザニン(アザチオプリン)
【製 剤】50mg錠
【作 用】核酸の生合成を阻害し、活性化T細胞の増殖、B細胞の抗体産生を抑制する。
【副作用】骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、貧血)、肝障害、黄疸、膵炎、食欲不振、嘔気、脱毛、皮疹、感染症、口内炎、舌炎、心悸亢進、発熱など
【注意事項】アロプリノール(アロシトール、ザイロリック)はアザチオプリンの代謝を阻害し、毒性が増強するので併用の際にはアザチオプ潟唐・/3~1/4に減量する。
4.ブレディニン(ミゾリビン)
【製 剤】25,50mg錠
【作 用】核酸の生合成を阻害し、活性化T細胞の増殖、B細胞の抗体産生を抑制する。
【副作用】骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、赤血球減少)、食欲不振、悪心、嘔吐、口内炎、舌炎、肝障害、発疹、掻痒感、脱毛、感染症、全身倦怠感、しびれ、口渇、ガンマグロブリン低下、尿酸値上昇など
【その他】アザチオプリンと比較し肝障害、骨髄抑制が少ないため、アザチオプリン投与で重篤な副作用が発現したときに変更されることが多い。
ただし、免疫抑制作用はアザチオプリンに比較し弱い。
追加の免疫抑制剤として使用され、最近は大量に使用されることが多い。
5.プログラフ(タクロリムス:FK506)
【製 剤】1mg,0.5mg錠
【作 用】リンパ球のひとつであるヘルパーT細胞のインターロイキン2及びインターフェロンγ等のサイトカインの産生を阻害することにより免疫抑制作用を発揮する。
【副作用】感染症、胸痛、高血圧、心不全、浮腫、頻脈、腎障害、高血糖、膵炎、高カリウム血症、高尿酸血症、掻痒、動悸、悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、溶血性尿毒症症候群/血栓性血小板紫斑病、振戦、頭痛、不眠、四肢のしびれ、など
【服用時の注意事項】
・ 血中濃度を適切な範囲で一定に維持するため、必ず医師の指示通りに服用して下さい。
・ うがい、手洗いなどいつも清潔にして下さい。
・飲み合わせの多い薬なので移植医の指示以外の薬を服用するときは、必ず相談して下さい。
・ 服用を忘れた時は、忘れたときから
6時間以内…気づいた時、一回分服用
6時間以上…一回分とばして次回一回分のみ服用(二回分まとめて服用したり、間隔が短いと副作用がでやすくなります)
6.RSー61443(ミコフェノール酸)
【製 剤】250mgカプセル
【作 用】核酸の合成を阻害して、特異的、かつ可逆的にT細胞及びB細胞の増殖を抑制する。
【副作用】発熱、嘔気、嘔吐、食欲不振、感染症、下痢など副作用は比較的少ない。
【その他】
他の細胞の増殖に対して影響が少ない。
腎毒性は認められていない。
【服用時の注意事項】
・長引くような下痢がみられたら医師に相談して下さい。
・他の免疫抑制との併用により感染症を引きおこしやすくなるので、うがい、手洗いなど清潔にしておいて下さい。
7.エンドキサンP(シクロフォスファミド)
【製 剤】50mg錠
【作 用】核酸の生合成を阻害し、活性化T細胞の増殖、B細胞から抗体産生への刺激を減弱することにより免疫を抑制する。
【副作用】骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、貧血)、出血性膀胱炎、排尿障害、蛋白尿、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、肝機能障害、黄疸、脱毛、発疹、色素沈着、爪の変形・変色、無月経、頭痛、倦怠感、間質性肺炎、心筋障害、心不全、副腎機能不全、甲状腺機能亢進など
【その他】ABO不適合移植時に使用。
<降圧剤>
1.カルシウム拮抗剤:アダラートL(10,20)、ニバジール(4)、ノルバスク(5)、ムノバ-ル(5)など
【作 用】血管や心筋を収縮させるカルシウムの血管細胞内への流入を遮断することにより血管を拡張させ血圧を下げる
【副作用】動悸、頻脈、顔面紅潮、頭痛、熱感、便秘、歯肉肥厚、下腿浮腫など
【その他】動悸、頻脈に対して徐脈を副作用に持つβ遮断剤(次参照)を併用して、副作用同士相殺する。
ノルバスク、ムノバール等は作用時間が長く、アダラートなどに比べ反射性頻脈等の副作用が少ない。
【服用方法】必ずしも食後に服用する必要はなく、等間隔にすると安定した血圧が得られる。
  (例)1日2回:7時と19時(12時間毎)
     1日3回:6時、14時、22時(8時間毎)
    1日4回:6時、12時、18時、24時(もしくは23時、6時間毎)
【服用時の注意事項】:血圧が130㎜Hg以下の時は服用を避けて下さい。
2.β遮断剤:アセタノール(100)、セロケン(20)、ロプレソール(40)、サンドノーム(1)など
【作 用】心拍出量の低下、レニン分泌抑制、中枢作用などにより血圧を下げる。
【副作用】徐脈、心不全、喘息発作、めまい、倦怠感、悪心嘔吐、四肢冷感、口渇、高脂血症、耐糖能異常など
【その他】副作用の徐脈を利用してカルシウム拮抗剤の頻脈を防止、また降圧ハ増強目的で使用。
急な中止により、交感神経の過剰興奮を示し、不安、動悸、不眠、発汗などの症状を起こすことがある。
【服用方法、注意事項】カルシウム拮抗剤と同様
3.交感神経中枢抑制剤(α2刺激剤):カタプレス(150)
【作 用】脳の中枢に作用して、末梢血管を拡張して血圧を下げる。
【副作用】眠気、口渇、立ちくらみ、手指の冷感、悪心、食欲不振、胸やけ、疲労感、起立性低血圧、徐脈、鼻閉、鎮静作用、不安、発疹、掻痒など
【服用時の注意事項】
・鎮静作用があるので危険な作用や車の運転に注意して下さい。
・服用を急に止めると、血圧が上昇して頻脈、不安などを伴うことがあるので医師の指導に従って下さい。
4. 交感神経末梢遮断剤(α1遮断剤):ミニプレス(0.5)、カルデナリン(1)
【作 用】末梢血管を拡張して血圧を下げる。
【副作用】発疹、掻痒、めまい、立ちくらみ、頭痛、耳鳴、脱力感、発汗、動悸、悪心、嘔吐、食欲不振、鼻閉、口渇、など
【その他】膀胱の筋肉を弛緩するので排尿障害に使用されることがあります(ミニプレス)。
めまい、ふらつきを起こすことがあるので、車の運転等には注意して下さい。

<高脂血症治療剤>

1.メバロチン(10)
【作 用】コレステロールや中性脂肪を下げ、動脈硬化を予防する。
【副作用】肝機能異常、消化器異常、横紋筋融解症(筋肉痛)、CPK上昇、悪心、嘔吐、下痢、便秘、BUN上昇、尿酸の上昇、尿潜血など
【その他】サンディミュンとの飲みあわせにより、筋障害をおこすことがあるので、なにもしていないのに筋肉痛を感じたら、すぐ医師に報告して下さい。
コレステロールの合成は夜間に促進されるので、夕食後の服用が効果的です。
2.ロレルコ(500)
【作 用】コレステロールを低下させ、動脈硬化を予防する。
【副作用】下痢、腹痛、嘔気、嘔吐、心窩部痛、発疹、掻痒、めまい、肝機能異常など
【その他】サンディミュンの血中濃度をさげるので、サンディミュンの服用量が増えることがあります。
3.エパデール(250)
【作 用】抗血小板作用、血清脂質低下作用、動脈の弾力性保持により、動脈効果を予する。
【副作用】皮下出血、悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、発疹、肝機能異常など
【その他】血清脂質低下作用はメバロチン、ロレルコ程ありません。
動脈の弾力性保持作用によりサンディミュンの腎血管障害を予防します。

<蛋白尿治療薬>

1. アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤):レニベース(5)、エースコール(2)
【作 用】腎輸出動脈を拡張して糸球体濾過圧を低下させ、蛋白尿が漏れでるのを抑える。
【副作用】咳嗽、腎機能異常、めまい、倦怠感、頭痛、発疹、掻痒、動悸、低血圧、口渇、肝機能異常、ヘモグロビン?ヘマトクリット?白血球の低下、血管神経性浮腫など
【その他】
降圧剤としても用いられます。
腎機能を考慮して投与量を調節します。
咳嗽がでるようになったら、医師に相談してください
2.ペルサンチン(25)
【作 用】抗血小板作用、糸球体係蹄壁の陰荷電減少抑制作用により蛋白尿を減少させる。
【副作用】心悸亢進、鼻出血、皮下出血、頭痛、めまい、発疹、嘔気、嘔吐、下痢、食欲不振、異和感、ほてり、倦怠感、など

<かぜ薬>

“かぜ”とは咳、鼻水、発熱など様々な症状を伴い、原因の80~90%がウイルス性です。しかしウイルスは毎年抗原構造(ウイルスの形)が変るので、臨床的に効果のある薬はありません。ですから治療は対症療法となり、多種類の薬が処方されることがあります。
1.総合感冒剤:PL顆粒
【効 能】鼻水、鼻閉、咽・喉頭痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱
【注 意】眠くなることがあります
原則的に予防には使用しません
2.ツムラ葛根湯
【効 能】自然発汗がなく、頭痛、発熱、悪寒、肩こりなどを伴う比較的体力のあるものの次の諸症
:感冒、鼻かぜ、熱性疾患の書記、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
3.イソジンガ-グル
【効 能】口腔内殺菌消毒による感染予防
【用 法】水約60mlに1目盛(2ml)、喉が痛い時は2目盛(4ml)使用して下さい。
帰宅時や、人の混んだところ、空気の汚いところに出かけたときなど適宜使用して下さい。
【注 意】適正な濃度で使用し、使用時に薄めて下さい。(濃度は濃すぎても、薄すぎてもよくありません)

<解熱、鎮痛、消炎剤>

1. 非ステロイド系抗炎症剤:ロキソニン(60)、ボルタレン(25)
【効 能】解熱、鎮痛、消炎(喉の痛み)
【注 意】胃腸障害があるので、空腹時での服用はなるべく避けて下さい。(多量の水で、もしくはパンやお菓子を少し食べた後などに服用)

<薬の服用における注意事項>

1.薬は医師の指示通りしっかり服用して下さい。
2.薬の必要性をしっかり理解して納得して下さい。
3.自己判断で薬をやめたりしないで下さい。
4.服用を忘れてもきちんと対処しましょう。2回分まとめとの服用は絶対いけません。
5.“うわさ”にとらわれず指示とおり服用して下さい。
6.他施設の処方薬、市販薬を服用するときは必ず医師に相談してください。(飲み合わせに注意)
7.薬の保管は光のあたらないところ、湿気のないところ、涼しいところにして下さい。
8.不安な事は医師に相談してからおこなって下さい。